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ただ一度、アルトナルが施してくれた愛撫。
それだけをよすがにして、わたしは、毎夜のように薬師の淫技を受け入れる。
――これはアルにいさまの指。
乳房を弄るのは、にいさまの舌。
固く瞼を閉じ、アルトナルの暖かさを思い返して。
そう思い込めば込むほど、わたしの身体は淫楽に堕ちる。つらさを忘れさせてくれる、一時の猥悦に。
それでも、くちづけだけは絶対に無理だった。
だから口もとには、ただきつく手の甲を押しあてて、わたしは蜜道の中で蠢く指の刺激に快楽を高めていく。
そして、また達した。
背筋を固くこわばらせ、内腿をひくつかせながら。
薬師が指を引き抜くと、ほとからはトロリと熱い淫液が溢れ出す。
「どうしたのでしょう……今宵は『訪い』が遅いようで」
薬師がわたしに囁いた。
無論、それが隣室での睦み合いにおける絶頂の「おとずれ」を指していることは、すぐに知れた。
わたしの方は、すでに少し疲れ始めている。薬師とて、そのことは察しているはずだった。
だから薬師は、ふたたび指を蜜道へと挿れることはせずに、ぬかるんだ指先を、そっとわたしの乳嘴へと落とす。
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