18

1/5

87人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ

18

18  ただ一度、アルトナルが施してくれた愛撫。  それだけをよすがにして、わたしは、毎夜のように薬師の淫技を受け入れる。    ――これはアルにいさまの指。  乳房を弄るのは、にいさまの舌。  固く瞼を閉じ、アルトナルの暖かさを思い返して。  そう思い込めば込むほど、わたしの身体は淫楽に堕ちる。つらさを忘れさせてくれる、一時の猥悦に。  それでも、くちづけだけは絶対に無理だった。  だから口もとには、ただきつく手の甲を押しあてて、わたしは蜜道の中で蠢く指の刺激に快楽を高めていく。  そして、また達した。  背筋を固くこわばらせ、内腿をひくつかせながら。  薬師が指を引き抜くと、ほとからはトロリと熱い淫液が溢れ出す。   「どうしたのでしょう……今宵は『訪い』が遅いようで」  薬師がわたしに囁いた。  無論、それが隣室での睦み合いにおける絶頂の「おとずれ」を指していることは、すぐに知れた。  わたしの方は、すでに少し疲れ始めている。薬師とて、そのことは察しているはずだった。  だから薬師は、ふたたび指を蜜道へと挿れることはせずに、ぬかるんだ指先を、そっとわたしの乳嘴へと落とす。     
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加