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 あまりむごく大きすぎたから、それが「傷あと」だということに、とっさには思い至らなかったほどに、それは本当に怖ろしい傷だった。  腰骨から腿の付け根に至るまで、アルトナルの肌の上には、長々と禍々しいように赤黒い引き攣れが膨れ上がっていた。  そして、いくつかの小さな傷あとが散らばる。  なにが「おかしい」のか。なぜそう思ったのか。  わたしは、そこでやっと気がついた。  アルトナルの男の場所の様子は わたしの持つ知識とは、まったく異なっていた。  わたしが直に知っているのは、むつきを替えるときに見る幼い子どものものではあったけれど。  大人の男とて、それとは、ほぼ何も違いがないのだということを、母や乳母の口から教わっていた。  だから、「その部分」に確かに「存在すべき」もののありかが。  むごたらしい傷あとに紛れるようにして、はっきりとは分からないことが。  不思議さの、そして違和感の原因なのだと――  そんなわたしの思考は、突如、シグルドが発した短く険しい吼え声に断ち切られた。  近衛の騎士が、アルトナルの内から自らを引き抜く。  シグルドの「男の器官」は、驚くほど大きくて、腹に沿うほどに真っ直ぐ屹立していた。  それは、わたしが見知っている幼子のものとは、まるで違って見えた。  とても「同じ部分」だとは思えなかった。       
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