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降雪をおしての葬列だった。
市井の民草であれば墓穴を掘り返すことにも難儀する、この時期の葬儀。
だが、優麗な霊廟を有する王の一族には、その苦労もない。
王子アルトナルの后であれば、そこへ亡骸を横たえる資格は十分だった。
齢、十七。
まだ、ほんの咲き始めの愛らしい金鳳花の死を、国中が悼んだ。
急な病を得て、あっという間のことだったと。
仔細は語られず、そのような話だけが表にされた。
葬列の中央、色とりどりの花で彩られた棺。
季節柄、入手がほとんど不可能と思われるそんな花々は、侍女や近衛や民たちが、一輪、また一輪と雪をわけて探し出して持ち寄ったものだった。
けれども、その棺の内には年若い后の可憐な骸はなく、詰められているのは数個の砂袋であることを知るのは、ただ三人だけ。
良人たる王子アルトナル、近衛の長シグルド、そして。
城医の薬師だけだった――
*
――骸は見つからなかった。
良人と愛人との情交を、男と男の肉の交わりを目の当たりにし。
そして、自らが夜ごとに胎に受け入れていた精が、良人の種ではなかったことを知って。
ソウレイ様は、夜闇の中へと飛び出していった。
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