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 ジワリと滲んだ鮮血を、敷布の中心に幾度か擦り付ける。  降り積もった雪のように真っ白な絹布に、ある場所には点々と、ある場所には長くかすれた筋めいて、紅い印がつけられていく。  傷口からの血が止まりかけたところで、アルトナルは、やっと敷布を汚す手を止めた。  わたしは手巾を取り出し、アルトナルの指先に、ぎゅっと巻き付ける。 「ありがとう、ソウレイ」  やさしくくちずさんで、アルトナルが微笑んだ。  わたしたちは、大きな寝台の端に、並んで腰かける。 「アルにいさま……」と、声を震わせたわたしの肩へ、アルトナルがそっと腕を回す。 「大丈夫だ、レイ。何も心配はいらない」  でも……と口にするわたしを、アルトナルがきつく抱き寄せた。 「ソウレイ、後悔しているのか? ああ、やはり、こんな重荷をお前に負わせるべきではなかった。我はなんと業の深い男だろう……」  苦悶に満ちた声が吐息に震えていた。  その悲しげな音に、わたしの胸が深くえぐられる。 「いいえ、いいえ、アルトナルにいさま。わたしは後悔などしていません。アルにいさまのお役に立ちたいの。わたしが、一体どれほどアルにいさまをお慕い申し上げてきたことか……ああ、きっとにいさまには、お分かりにならないでしょう」     
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