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するとソウレイ様は、おびえながらも吾へと手を差し伸べ、愛らしく震える声でこうおっしゃった。
「にいさま、アルにいさま……」
「ああ、そうだ……我だ、ここにいるぞ、ソウレイ」と。
とっさにそう応じたのは、傷を負い怯え切ったソウレイ様を安堵させるのに、それが最もふさわしい言葉だと思ったからにほかならなかった。
だがソウレイ様は。
そのまま吾に縋りつき、吾のくちびるを貪りはじめた。
手指での猥技までは、耐えて受け入れながらも、口吻だけは、決して許そうとはしなかったソウレイ様が。
淫らにも舌を絡め、唾液を啜るように、深く穿つくちづけを止めようとはしなかった。
そして、息を継ぐためにくちびるを離せば、その度に、吾の頬を慈しみながら、
「アルにいさま、にいさま、お慕い申し上げております、にいさま、大好き」と、甘い蜜にまみれた睦言を、ただただ囁くのだ。
「可愛い金鳳花……我が后よ」
言いながら、吾はソウレイ様を抱きしめた。
そして、衣の前をはだけると、血に濡れ、夜に冷え切ったソウレイ様の肌を、自らの肌で温めた。
ソウレイ様の細い指先がさまよい出でて、吾の首筋を肩を、胸の尖りを、頼りなく撫で擦る。
ただ情欲が込み上げて仕方がなく、腰に陰茎に、ひたひたと熱が蓄積されていった。
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