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そしてソウレイ様の指が、ついに吾の猛りに触れる。
「おねがいです、にいさま、にいさまどうか……」
その懇願の声は、途切れることはなかった。
だから吾は。
愛する良人に、真に身体を捧げたいという望みを堪えきれず、ひたすらに縋りついてくる小さく冷たい身体を、己自身で穿った。
淫慾と精にまみれてはいても、事実、いまだ初雪と同じく清らかな乙女の身体を。
吾の熱い楔で穿ち、この身体に留めつけてやった――
寒空の下での吾らの「初夜」の交接は、それほど長い時間を要しなかった。
処女の血を滴らせながら、ソウレイ様はすぐに達し、吾も同じく欲望を迸らせた。
そして吾は、血に汚れた寝着を裂き、それのみを森に残して、誰にも知られぬこの山荘へとソウレイ様を運んだ。
それが頭の傷のせいなのか。
理由は定かではなかったが、ソウレイ様のお目は、ほぼ盲いてしまっていた。
吾はすぐに、絹紐でひとくくりにきつく結わえていた長い髪を切った。
王子アルトナルと、まったく同じ長さに。
「ソウレイ様の病気快癒を願い、神殿に捧げるために、そうしたのだ」と。
吾が出まかせに述べた理屈に、看病も許されぬまま遠くに控えさせられていた侍女たちは、震えて涙した。
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