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ぼくの家には宇宙人がいる
墜落した宇宙船はもぬけの殻だった。
墜落位置。住宅街の一角にぽっかりと開いた空き地、そこにはクレーターがあり、中心に主のいない宇宙船が黒煙を上げながら横たわっている。大きさは小型。人間が乗れるような大きさではない。せいぜい小型犬が入るかぐらいだ。
その宇宙船を人だかりが囲っていた。多くは警官の格好をしているが、中にふたり、軍服を着た男が混ざっている。そのうちひとりは胸に勲章をつけていた。
胸に勲章をつけた軍服の男は、宇宙船の前に屈みこむ。内部を鋭い目つきで覗き込み、こんこんと宇宙船の外壁を叩いてみた。
「地球にはない金属だったりするんだろうな。周りは住宅街、墜落位置の計算からして、間違いようがない」
「少佐、中に乗っていた宇宙人はどこに」
「逃げてこの近くに潜伏しているのだろう。見つけ次第、殺せ」
背中越しに心無い言葉を放つ。少佐に付き慕う軍服の男は、顔を歪めた。
「不服かもしれないが、それが国の命だ」
それを少佐は、振り向くことなく、まるで背中に目があるかのように捉えた。
「彼らは、“星を食べるもの”と言われておりますが、そこまで害があるようには」
「食べるさ。この星のエネルギーそのものを地面から吸うことができる摂食器官を彼らは持っている」
少佐は立ち上がり、軍服の胸ポケットから上物の葉巻を取り出した。獅子のレリーフが施された、ジッポライターで火をつけ、煙をふかす。
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