宇宙人がやって来た!

5/5
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
 ぼそりと呟く声を聞きとると、タダシの方を振り返り、身体をびくんと震わせて後ずさり。 「ニンゲン、ヤメロ。ヤメロ。コーゲキヤメロ。コノウソツキ、ヒトデナシ」  見覚えのある姿。聞き覚えのある表情のない甲高い声。たどたどしい言葉。間違いなく、そいつはコロギヌス星人だった。地球を侵略しに来た宇宙人。  なぜかひどくおびえている。人間自体を恐れているかのような口ぶりだ。  よく見ると、そいつはケガをしていた。黄緑色にぼやぁっと光る皮ふに青い血を流す傷が開いていた。 「ケガをしてるじゃないか。大丈夫?」 「ウルサイ、チカヅクナ」  せいいっぱいに優しい声をかけてみるも、そいつは細長い腕をぶんぶんと振って、「あっち行け」とタダシを追い払う。  どうして、こうもおびえているのだろう。――それに、こんな臆病な宇宙人が、本当に地球を侵略しに来たのか。  そんなことを考えていると、パトカーのサイレン音が鳴り響いた。 「マズイ、ニンゲンくるっ」  タダシは、とっさにそいつの身体を抱きかかえた。その小さな身体は、タダシがすっぽりと覆い隠せるほどしかなかった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!