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宇宙大好き三人組
びゅうびゅうと寒い風。吐く息は白く、街に植えられた木々には、赤、黄に橙の色が。
冬の寒さの忍び寄る秋晴れの空の下。肩を落として、歳に似合わない難しい顔をしながら歩く男の子。年齢は八歳かそれくらい。さっきまで学校で授業を受けていたタダシだ。
強い風が吹くたびタダシは肩をこわばらせながら、家に向かって歩いていく。
ろくに前も向かないで歩きながら、十字路にさしかかかろうとしていた。
十字路のタダシから見て右手の方で、男の子と女の子が、タダシを見つけてくすりと笑った。そして息をひそめて、ふたりして出合い頭にタダシの前に「わーっ」と大きな声を出して飛び出した。
「うわっ!」
下を向いて考え事をしながら歩いていたところに、いきなり前から大きな声を出しながら人が出てきたのだ。タダシは大きな声を上げてすってんころりん。
アスファルトの上に尻もちをついた。痛そうにするタダシを前に、けらけらと笑う男の子と女の子。三人とも年齢は同じくらいだ。
「もう、タダシくん。驚きすぎだよぉ」
とくに女の子の方はツボにハマってしまったらしく。お腹を押さえて笑っている。タダシはあまり愉快ではない。
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