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「笑いすぎだ。ミカもカケルも」
女の子の名前はミカ。もう一人の男の子はカケル。三人の中では成長の早い女の子のミカが一番背が高い。そして、カケルが一番小さい。
カケルが手を差し出すと、タダシはそれを払いのけて立ち上がり、ひざをはらった。
「そう、怒るなって」
カケルに「怒ってないよ」と低い声を返す。明らかにタダシは不機嫌だ。
「国語の時間のことでしょ」
ミカが、タダシの不機嫌の理由を言い当てた。
むすっとしながらタダシは、小声で「そうだよ」と漏らす。民家の塀にもたれながら、「みんながぼくをバカにする」とぶつぶつと呟く。
「タダシくんは宇宙人が好きだもんねー」
ミカの言葉をタダシは否定した。「好きなわけじゃない」と。
「でも、宇宙は好きなんでしょ」
今度はミカの言葉を否定しない。
「だって俺ら、“宇宙防衛軍”だもんなっ」
カケルが自分の中だけで使っている三人組の呼称を持ち出した。「はいはい」とミカが呆れ気味に流す。カケルがとたんに不機嫌になった。
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