宇宙大好き三人組

2/3
前へ
/40ページ
次へ
「笑いすぎだ。ミカもカケルも」  女の子の名前はミカ。もう一人の男の子はカケル。三人の中では成長の早い女の子のミカが一番背が高い。そして、カケルが一番小さい。  カケルが手を差し出すと、タダシはそれを払いのけて立ち上がり、ひざをはらった。 「そう、怒るなって」  カケルに「怒ってないよ」と低い声を返す。明らかにタダシは不機嫌だ。 「国語の時間のことでしょ」  ミカが、タダシの不機嫌の理由を言い当てた。  むすっとしながらタダシは、小声で「そうだよ」と漏らす。民家の塀にもたれながら、「みんながぼくをバカにする」とぶつぶつと呟く。 「タダシくんは宇宙人が好きだもんねー」  ミカの言葉をタダシは否定した。「好きなわけじゃない」と。 「でも、宇宙は好きなんでしょ」  今度はミカの言葉を否定しない。 「だって俺ら、“宇宙防衛軍”だもんなっ」  カケルが自分の中だけで使っている三人組の呼称を持ち出した。「はいはい」とミカが呆れ気味に流す。カケルがとたんに不機嫌になった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加