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宇宙人がやって来た!
「ただいまー」
――三人が解散してから十数分後、タダシは家に着いた。靴を脱いで行儀よく揃えた後、「おかえりなさい」と声がした廊下の奥、居間に向かう。
テレビがBGM代わりについていて、画面が見えないキッチンの向こう側でタダシの母親は、とんとんと野菜を切っていた。
「タダシ、ちょうどいいところに帰ってきた。じゃが芋の皮を剥いてくれるかしら」
いいよと返事をして、台所のシンク下からピーラーを取り出して、じゃが芋の皮を剥く。
「今日、学校はどうだったの?」
「また、宇宙人が悪者のお話を読んだんだ。いつも宇宙人が出てきたら、そればっかりだっ。――ぼくがおかしいのかなっ」
じゃが芋の皮を剥いては、軽く洗う。タダシは母親の料理を手伝うことがよくあるのか、やけに慣れた手つきだ。それを頼もしそうな目つきで眺めながら、人参を梅の花の形に飾り切り。
「そんなことないって、いつも言ってるじゃない。たしかに宇宙人は、人間とは見た目が違うし、乱暴かもしれない。でも、それだけで自分じゃない誰かを傷つけていい理由にならない。自分じゃないものを認められないのは、さみしい人間の考え方よ」
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