1人が本棚に入れています
本棚に追加
(おにいちゃんが、元・勇者……)
ベルはすんなりとルーシーの言葉を受け入れていた。
かっこよくて優しい兄はかつて勇者だった。それは、ベルにとっても納得のいく話だった。
その時、ルーシーが唐突に言った。
「あら、噂をすれば」
いつのまにかこの部屋に入ってきていた、ベルの兄・アディに向かって。
アディは明らかに殺気立ち、ルーシーを睨みつけている。ギラリと輝く剣を構えて。
「ベルに余計なことを言うな」
「もし、言ったら?」
「殺す」
ザシュ……ッ
「……っ!」
ベルは悲鳴すらあげられなかった。一瞬で事は起こり、そして終わった。
アディの剣が、ルーシーの胸を貫いていた。
最初のコメントを投稿しよう!