第三話 ルーシーの家

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(おにいちゃんが、元・勇者……)  ベルはすんなりとルーシーの言葉を受け入れていた。  かっこよくて優しい兄はかつて勇者だった。それは、ベルにとっても納得のいく話だった。  その時、ルーシーが唐突に言った。 「あら、噂をすれば」  いつのまにかこの部屋に入ってきていた、ベルの兄・アディに向かって。  アディは明らかに殺気立ち、ルーシーを睨みつけている。ギラリと輝く剣を構えて。 「ベルに余計なことを言うな」 「もし、言ったら?」 「殺す」 ザシュ……ッ 「……っ!」  ベルは悲鳴すらあげられなかった。一瞬で事は起こり、そして終わった。  アディの剣が、ルーシーの胸を貫いていた。
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