spice00.プロローグ

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私の初恋は中学一年だった。 相手は、明るくて人懐っこい隣の席の男子。 野球部の坊主頭と、ニッと歯を見せる笑い方が特徴的で、引っ込み思案な私にもいつも話しかけてくれていた。 学年が上がってもずっと好きだった。 だけど。 中学三年のある日、友達から彼のことが好きだと告げられた。 協力してほしいと頼まれ、承諾してしまう。 気持ちを押し殺して友達の協力をする日々を過ごし、高校受験も、わざと二人とは違う学校を受けて合格。 そうして卒業式の三日前――クラスのみんなで行った遊園地で。 友達は、彼に告白した。 私は、友達の待つ告白場所まで彼を連れていく役目だった。 その時に彼とした会話は、今でも覚えている。 「なぁ。噂で聞いたんだけど、西高受かったんだろ?」 「……うん」 「そっか。じゃあ俺とは別の高校だな」 「……そうなんだ」 「そうだ! このまま二人で観覧車乗らね?」 「えっ?」 「卒業したら喋る機会なくなんじゃん」 「いや、えっと、でも、先について来てほしい場所があって……」 「あぁ、そっか。じゃあそのあと観覧車な!」 その約束は、きっと忘れ去られた。
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