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どうしよう。
思わず正座して、両手でスマホを持つ。
震える指でロックを解いてホーム画面を開くと、不在着信が二十五件と、メッセージが百を超えていた。
ドクドクと脈が耳の奥で波打っている。
確かめるまでもなく、不在着信は全部香恋からだろう。
浅い呼吸を続けながら、意を決してメッセージアプリを開くと、同じ学部の友達からが一つ。
それ以外は全部香恋からだった。
『ごめんね』
『今どこにいるの?』
『私は春木先輩より紫映の方が大事だから』
『ちゃんと話したい』
『紫映、ちゃんと家に帰った?』
『今どこ?』
『変な気起こしたりしてないよね?』
『お願い、心配だから連絡ちょうだい』
最初は謝罪や弁解のメッセージばかりだったのが、後の方になると心配のメッセージに変わっている。
不安の上に罪悪感まで乗っかって、さらに心臓が重くなった。
どうしよう。
何て返そう。
頭の中で思考を回しながら、震える指を画面に当てる。
充電が切れて気付かなかったことにする?
ううん、嘘っぽくてバレバレだ。
怒ってるフリをする?
いや、そんなのしたくない。
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