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序
__ああ、そうだ。
いつか、天に届くかもしれない。と、神の領域に辿り着くかもしれない。と、淡い期待を抱いていた、かつての人類のように、僕もまた、微かな希望を望んでいた。
そんなものには、いつか必ず天罰が下ると知っていながら。
君は、塔を崩した神のように怒るのだろうか。その時僕は、言い訳無しで君に謝りたい。君が満足するまでずっと、ずっと。何度でも。僕は、心のどこかで、その日が来るのを待っていた。
隠し通せる嘘ではないと、最初から分かっていたけれど、それは、日に日に自分を苦しめるだけであって、もういっそ、そんな苦しみから解放されたいとさえ思い始めていたのだ。結果的に自分で自分の首を締めるだけだったのだ。
ああ神よ、僕はただ、彼女に笑いかけてほしい、それだけだったのです。あの笑顔が、少しでも僕の方に向けられたら、たったそれだけか僕の願いだったのです。
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