赤い糸

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「なーんだ!」 私も……。 「これから恋バナ出来るね! 心音のことめっちゃいじってやるー」 横田のことが好きなんです。 せっかく心音が言ってくれたのに、同じ人を好きだとは……。ついさっきまで凄く嬉しかったのに一気に地面の奥底深くに落とされた感覚になった。 「心音ごめん! ちょっとお腹痛いからトイレ行ってくる」 「あの! 横田くんのこと好き?」 直球な質問。私はそれを受け取りたくなかった。 「え? 心音が好きなのに好きなわけないでしょー。それに横田のこと嫌いだし」 「えー、俺嫌われてるのー?」 後ろから呑気に横田が入ってきた。よりによって本人に聞かれてしまった。本当は嫌いじゃない。好きなの。でも、今はこういうしかない。 「大嫌いとまではいかないけど、少なくとも好いてはいないよ」 嘘。嘘なんだよ。信じないで。 「そっか……」 そんなに悲しそうな顔しないで。本当は好きなのに、絶対届かない想い。届けたい。 「あ、あの! 私は好きだよ、横田くんのこと」 あー、そっか。心音はこの流れを利用して告白。勇気あるな。私もこのくらい言えればいいのに。 「ごめん。お前のことはクラスメイトとしか見てなかった。でも、これからも友達でいてくれるかな?」 「もちろん!」 今振られたのに心音は満足そうな顔だった。なんで? 振られたのに……。 「それよりこいつ借りてもいいか?」 私!? まさか、さっきのこと怒ってるの? 心音は頷いてるし。普通好きな人が親友を借りていいか聞いたらやだって言うだろ。あーもー! ついて行けばいいんでしょ。 連れてこられたのは周りに誰もいない空き教室。 「勝手に連れてきてごめん。あのさ、俺のこと嫌いって本当?」 何この質問。なんて答えればいいんだろう。二人きりの教室。
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