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「ごめんなさい。嫌いって言うのは嘘です」
告白する勇気はまだ私には無い。だからせめて誤解だけは訂正したかった。
「なんだぁ。よかった。俺お前に嫌われてると聞いた時マジでショック受けたんだからな」
なんで、ショック受けたのだろう。私も心音と同じただのクラスメイトなのに。
「……ったく。本当にお前察し悪いな」
察し? 何を察すればいいのか教えてくれ。
「俺、お前のことが好きなんだ。」
フリーズ中。もうしばらくお待ちください。
「え、えー!」
全く気づかなかった。からかってるわけじゃ……なさそうだね。顔を真っ赤にして私の方を向いている。
「あの、返事は今日の放課後まででもいいかな?」
「絶対、だからな!」
心音になんて言おう。元好きだった人に告白されてしまったなんて言ったらさすがの心音も怒るよね。
「こ、心音……。話したいことがあるんだけど」
横田のいない隙に心音と話せば大丈夫だろう。
「どうしたの? あっ、もしかしてさっきの呼び出し?」
ニヤニヤしながら聞いてくる。こいつは本当に好きだったのか?
「あのさ、心音ごめん。呼び出された時、横田に告白されました」
殴られる殴られる殴られる
「やっぱりね。それより、私のことは気にしなくていいんだよ」
えっ……。殴らないの? 怒らないの?
「まさか、怒って殴るとでも思った? さすがに親友を殴ることは出来ないよ!」
心音は冗談半分っぽいけど私は本気で思ってました。
「ありがとう。心音のおかげで自分の気持ちがはっきり分かったよ!」
「横田くん」
私たちは今、空き教室にいる。
「告白してくれてありがとう」
好きだと思ってるだけではダメなんだ。
「私……」
届けてください愛を。結ばせてください愛を。
「横田くんが好きです!」
固く固く赤い糸で。
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