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昼間のパレードを見ていて、ふと思う。 (でも、まだ子供だもんな──) 自分は何をしているんだと後ろめたくなる。 (子供相手に、まるで初恋でもしたかのように……) パレードに夢中になっている結依の手が、支倉の袖にかかった。爪先立ちを支えようと思ったらしい。袖だけではバランスが取りにくいのか、腕そのものに、そっと手がかかった。 小さな柔らかな手だった。 パレードが終わり、観客が三々五々散る中、支倉は静かに言った。 「夜のパレードが始まる前に、帰ろうか」 瞬間、まだ支倉の腕にかかっていた結依の手が震えた。 「──え」 「あんまり遅くなっても怒られるだろう? 閉園まではいられないのは確定だ」 「ここへ来ることは言ってあります、遅くなるのも伝えてあります。夕飯は要らないって……!」 懸命に伝えた、帰りたくないとさえ思っている事を。それをはっきりと伝えてはいけない相手だとも理解している、それだけにもどかしい。 「閉園まで、いられます……!」 「うん、じゃあ……」 そんな時間まで連れ回していたら、自分が何をしでかすか判らない恐怖があった。 「じゃあ……パレードの時間にご飯済ませて……帰ろうか」 結依には判る、言い募っても所詮相手は教師で家庭もある、その一線を越えることはないだろうと。 静かに頷いた、せめて残りの時間は楽しもうと思った。 薄暗くなった頃、夕飯の為にレストランに入った。パレードが始まっていたので店内は静かだった。 弾む会話をしていたわけで無いが、食事はゆっくり進んだ。たっぷり時間をかけて食事をしていたので、パレードも終わり店内に賑わいが戻ってくる。 「──出ようか」 それは帰ると言うことだ。 結依は「嫌だ」と喉まで出かかりながらも頷いた。 財布を出す支倉に、 「ここくらい払います」 腕を引いて言った。 「勘弁してくれよ、誘ったのはこっちだし、高校生にお金を出してもらう気はさらさら無いよ」 自分の腕を握る結依の手をそっと握って言う。
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