2.

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(もうすぐ終わり) 楽しかった一日が終わる、明日になればまた教師と生徒、「支倉先生」と「田浦」に戻るのだ。 (どうせ、終わるなら──) 結依は支倉の腕にしがみつくようにして引き止めた。 「え、結依……!?」 腕の全てが結依に当たり、蓮は焦る、柔らかな胸と腹を感じた。 「先生……!」 腕にしがみつき、見上げる結依の瞳が、街灯に照らされて潤んでいるのが判る、切なさと溢れんばかりの想いが詰まった瞳だ。 刹那、思う。その想いを聞いては駄目だと。聞けば自分が持て余す気持ちにも気付いてしまう、そうなれば後戻りはできない──。 「私、先生が好きです!」 止める前に結依は言っていた、いや、本当は止める気などなかった。 「先生が……っ、大好きなんです……!」 「結依……」 まっすぐ見つめる結依を、支倉は見つめ返した。 環境や立場など気にしていない、純粋な瞳だった、ただひたすらに目の前の男を愛していると言っていた。 「先生……!」 今まで見てきたどんな生徒とも違う、少女の無垢な心を目の当たりにして。 抑えていた枷が吹き飛んだ、妻や子供や、社会的立場すら棚上げにして、支倉は結依を抱き締めていた。 「先生……っ」 一瞬戸惑った声が上がった、体も強張りを見せたが。 それもすぐになくなった、小さく息を吐いて結依はそっと支倉の背に手を回し、優しい力で抱き締めていた。 「先生……」 その声は安堵した声音だった、そんな声を聞いて支倉はその先が欲しくなる。 ほんの少し体を離した、結依も素直に離れる、これで十分だと思ったからだ。自分の気持ちを受け入れてくれたのは判った。 はにかみ微笑む結依の唇に支倉はキスを落とした、それは一瞬で離れる。 「──先生」 結依の驚いた声がした、それを塞ぐように再び強く抱き締める。 「先生」 結依は笑顔で呼びかけていた、嬉しそうな声音に支倉の心臓は破裂しそうだった。 「そんな風に呼ぶな──先生はこんな事しない」 耳元の苦しげな声に、結依は哀しみ、そして嬉しくなる。 支倉が苦しみながらも自分を受け入れようとしてくれていると判った。
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