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 ベッドの上にぽふりと乗せて、部屋の電気を消す。黒ねこなので、電気を消すと闇に溶け込んで見えなくなる。けれど、でかいねこなので、逆に言うと適当に探ればどこかに触れることが可能だ。毛布に引き入れると、意外にも大人しくしている。  腕の中に抱きこんでしまうとやわらかく、これは人をダメにするなんとやらだなあと思う。  おりしも金曜の朝。ねこきちは、昨晩のことを照れているのか朝起きたときから姿が見えない。気配はあるので、家のどこかにはいるのだろう。  ねこきちに気を使うわけではないが、確かに七生のことは気になった。会いに行こうかと思いながら、連絡を取ろうかと思った。白鳥七生は、ぼくが昔暮らしていた家、師匠の家の孫息子で、はにかんだ笑顔がかわいらしい少年だ。……記憶の中ではいつまでも子どもなのだけど、実際はもう二十代の後半だ。離れて暮らしてはいるけれど、同じ関東、会おうと思えば会える位置だ。今日ちょうど、仕事で都内に出るし。  コーヒーを淹れながらメールを送ってみると、すぐに返事が来た。都合は良いらしいけれど。ソファの下からはみ出ているふさふさのしっぽに気がついた。ねこが入れるレストランってめったにないんだよな。 「七生が会ってくれるそうだよ。きみ、人間に変身できるかい?」 「にゃあ」  *     
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