4.当たり屋

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翌日は予想通り、寄りつきに成行買いが殺到してきた。最初に表示された数字は三百万株であったが、五分たち、十分たつと六百万株にふえ、九時十五分頃に寄りついたが、結局八百万株の買い物であった。寄りつきは五円高の二百三円だった。凜子の客は八割までが朝から店頭に押し寄せ、黒板を見まもった。二百三円の寄り値をみると、一斉に拍手がおこった。凜子に握手をもとめる女性客、ふかぶかと頭をさげる白髪の老人客の姿もあった。客がすべて引きあげたころ、三丁目老人が姿を現した。 「凜子ちゃん、おめでとう」 三丁目金左衛門が歯のぬけた口をあけて、めずらしく笑顔をみせた。凜子はふかぶかと頭をさげた。 「おかげさまで、二百三円で全部売れました。三丁目さんのアドバイスのお蔭です。ありがとうございました」 「なに、これはすべて君の力だよ。これからは、今はやりのファンドを作りなさい」
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