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「やっば!なにお前!信じられん、ベタ惚れか!うける!!」
「なっ!うっせぇ!大きなお世話だ!!それに俺はあいつの嫌がる事はしたくないだけだ!」
「嫌がる?旦那が?お前が働きに出るのに反対なのか?嫁は家で旦那の帰り待ってろって?いつの時代の人間だよ、亭主関白もいい所だな。そんな話なら俺から一言物申すのもやぶさかじゃないぞ」
「や…別にあいつがそう言ってる訳じゃないし…」
「なんだ、だったらやっぱりお前が働きたくないだけか、ただ飯食いはよくないぞ」
「だから違うって、あいつ…だから…」
「あ?なんだって?聞こえねぇよ、はっきり言え、お前らしくもない」
ブラックが矢継ぎ早に理由を問うてくるのに、俺は更に言葉に窮し小さな声でぼそぼそと言うのだが、聞こえなかったのだろうブラックが片眉を上げる。
「あいつ、やきもち焼きだから…俺が外に出るの、嫌がる…」
どうにか紡いだ言葉にブラックは目を見開いて、また大爆笑した。
「理由がやきもちって!マジか!!うける!」
「うっさい、ブラック!あいつのやきもちホント大変なんだからな!ぱっと見気のいい大型犬だけど、中身は嫉妬深い狼だ、何かあったら身動き取れなくなるまで食われるの俺だからな!」
「マジか、そんなか…くくっ、仲が良くていい事だな」
「うっ…そんなんじゃ、ねぇし」
もう絶対顔が赤くなってるのを隠せもしない、こんな時表情を隠す前髪を切ってしまった事を後悔する。どうにもいたたまれずにそっぽを向いたら、ブラックは笑いを堪えるようににやにやとこちらを見ていた。
「人間変われば変わるもんだな、俺は嬉しいぞ」
そんな事を言ってひとしきり笑った後、ブラックはひとつ息を吐く。
「まぁ、そんな事は置いておいてだ、旦那の職務改善の話だったな、俺の言ってた役職付ってのもちゃんと嘘じゃないぞ、近々ちゃんと付ける…というか勝手に付くから心配すんな」
「勝手に付く?どういう意味だよ?」
「来週祭りがあるのは聞いてるか?」
「あぁ、なんか三年に一度の大きな祭りなんだろう?何やるか知らねぇけど」
「これな、騎士団員の祭りなんだよ。武闘会って言ってな、騎士団員総出で戦うんだ、そんで強い奴が出世する。言わば役職争奪戦だな」
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