運命の武闘会

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「ブラック、これはどういう事だ!!」 俺は男がいるであろう部屋を蹴破る勢いで開けて、その部屋の主を睨み付けた。 ある程度広さのあるその部屋は雑然としていて、真ん中奥に大きな机と、奥にもう1つ小ぶりな机が並んでいる。 しかしそのどちらの机の上にも書類のような物がうず高く積まれていて、その場にいるはずの人間の姿が見えない。 ここにいると言われて来たのに、その姿が見えないのにイラついて書類の向こう側を目を細めて見やればなにやら動く人影。 俺は躊躇もなく、その人影へと近付いていく。 「聞いてんのか、こら!」 「あ?なんだ、グノーか。何の用だ?」 書類に埋もれるようにして男は顔を上げた。 黒髪黒目のその男は昔から一貫して黒服着用の上から下まで黒ずくめで、男自身の名前も名は体を現すと言わんばかりのブラックと言う。 「何の用だ、じゃねぇよ!この狸親父!俺は抗議に来たんだ!」 「だからなんだよ、用件は手短に言え」 ブラックは机から顔も上げずにそう言うので、俺は彼の机に拳を上げた。 「お前がうちのを役職付きで騎士団に雇うって言うから、わざわざ家族総出で引越しまでして来たってのに、毎日毎日朝から晩まで雑用三昧働かされて、あれのどこが役職付だ!どう見ても一番下っ端の仕事だろ!ふざけんな!」 「あ?あぁ、そんな事か…」 「そんな事ってなんだ!この狸親父!ナダールは優しい奴だから文句言わずに働いてるけど、こんなのどう考えても詐欺だからな!お前があいつをここに連れて来たんだ、ちゃんと言った事は守るのが道理じゃねぇのか!」 「あぁ…うん、まぁ、そのうちな」 ブラックの気のない返事に俺は更にイラつきを隠せず、机をだん!と拳で叩くと、幾つかの書類がばらばらと目の前に崩れ落ちてきた。 何とはなしにその書類に目をやると何かの図面に幾つもの朱が入れられていて、俺は眉を顰めてそれを見やった。
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