運命の武闘会

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「これ、本当に面白いな。一回戦って乱闘戦だけど武器の使用は不可なんだってさ、ようは身体一つで戦えって事だ。だけど相手に大怪我負わせても負け、転がせばOKって、簡単に書いてあるけどめっちゃ難しい。お前みたいなでかいのは転がすの大変だから徒党組まれる可能性もあるから気をつけた方がいいかもな、足元掬われたらすぐ負ける」 「負けたら三年下っ端仕事」というキースの言葉が頭を過ぎる。 「でも考えようによればお前は有利だよ、でかい分だけ当たりに強い、そう簡単に転がらないだろ」 「まぁ、力比べならそこそこ自信はありますよ」 「だろ、変に一対一よりお前には向いてる。ここに書いてあるけど武器の使用は不可だけど、その場にある物は使用可なんだってさ。って事はその場に『何か』はあるんだよ、そう思った時によく見てみれば、この会場使えそうな足場は揃ってる、何もない砂地、荒れ放題の草地、あとは足場の悪い川沿いの岩地、臨機応変にその場にある物で戦えって、野戦みたいで面白いよな」 グノーに言われてその地図を覗き込めば確かにその通りの立地で驚いた。 自分の試合会場以外にも幾つか会場があって、それは観客が見やすいようにばらけてあるのかと思っていたのだが、どうやらそれだけではなさそうで唸ってしまう。 「これはちゃんと会場の下見に行っておいた方が良さそうですね」 「だな、二回戦も楽しそうだし、お前絶対勝てよ」 「う~…善処します」 「なんだよ、そこは頑張ります、だろ」 「私が戦闘得意じゃない事知ってるでしょう、正直自信ないですよ…」 「俺が大丈夫だって言ってるのに、お前は俺を信じないのか?」 「あなたの事は全面的に信じてますよ、私が信じてないのは自分自身です」 「それは俺を信じてないって事だろ。お前の謙虚さは美徳でもあるけど欠点でもあるよな、俺はお前を信じてる、大丈夫、お前ならその辺の男には絶対負けない。俺を信じろ」 きっぱり言い切られて伸びてきた手に頬を撫でられた。そして女神のような極上の笑みを見せられたらもう逆らえない。 あぁ、私の伴侶は本当に綺麗で聡明な人だ。 こんな素晴らしい伴侶を迎える事ができた自分に何を弱気になる事があるものか。 「精一杯頑張ります」
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