運命の2回戦

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同じ頃、スタール達18人はゴールを目前にしていた。 「ひゃっほい、俺達一番乗りだ!」 「馬鹿、大将いなきゃ意味ねぇだろう!」 そんな事をわいわい言いながらゴールへ駆けて来る者達に、待ち受けていた観客達も戸惑い顔だ。 「お前等ちょっと待った、お前達は一体何処へ行こうとしているのだ!」 誘導係を務める兵士が一人、戸惑い顔で皆を制止してそう問いかけたとしても誰も不思議には思わない。 「何処って、行く先はひとつしかないだろう?試合なんだし」 「大将もいないのにゴールできる訳ないだろう!」 「まぁ、そりゃそうか。それじゃこの辺で待ってるか」 その場で「あ~疲れた」と座り込む彼等を兵士は更に戸惑い顔で見詰めた。 「大将を置いてきたのか?助けに行くとか、しなくて大丈夫なのか?」 「だってしょうがねぇじゃねぇか、先に行けってのが大将の命令だったんだから。お~誰か来たぞ…んん?でもあれうちの大将じゃねぇや」 「それじゃあもう少し休憩だな」と笑う彼等に 「せっかくここにいるのに邪魔をするとか、封書を奪うとか、そんな事もしないのか?」 兵士は困惑してそう言った。 「あぁ、そう言えばそうだな、やっとくか?」 一人がそう言うが「無駄な体力使う必要もねぇべや」と一人が言うと「それもそうだな」とまた皆で笑った。 「あの男、ゴールしてしまうぞ!?本当にいいのか!?」 「大将が良いって言ってんだから、大丈夫だろ?なぁ?」 うんうんと皆一様に頷くので、この者達は一体何なのだと兵士は更に困惑した。 「あ、ゴールした。歓声凄いな。ねぇ、あの封書って王様に渡すんだろ?王様ってどれ?オレ見た事ないんだけど」 数年前に代替わりした国王陛下はあまり国民の前に姿を現さない、国王の傍近くに仕えている者はその姿を見知っているが、騎士団に入ったばかりのキースはまだその姿を近くで見た事がなかったのだ。 だが問われたスタールも「俺も知らねぇ」と空を仰いだ。 風は気持ちいいし天気はいいし、眠くなる。 「王はあれだ、あそこの黒髪の…」 兵士が指差す方を見やると、何やら優勝者と封書を開封し確認した兵士が揉めている。 「お~やってんなぁ」 スタールはにやにやとその様子を眺める。
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