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笑う少年の髪もジャック同様真っ黒で、その2人が兄弟である事はすぐに分かった。
だが、そこでキースは首を傾げる。
「ねぇ、なんで兄弟の中でエドワードさんだけ髪の色違うの?」
「あぁ、これか…」とエドワードは自身の髪を引っ張り「俺、親父の実の子じゃないから」とそう続けた。
「父さんに一番似てるの兄さんなのにね」
そのジャンと呼ばれた少年はおかしそうにくすくす笑い、エドワードはやはり不機嫌そうに「似てない!」と切って捨てた。
「お前、あいつと従兄弟って言ってたけど…」
スタールはナダールに疑問を投げる。
「うちはラング家とは一切関係ありませんよ。私は彼の生みの親の方の親戚になりますので、むしろそちらの親戚でしたらカズイの方ですよね?」
「まぁな」とカズイは頷く。確かに彼等は伝説の剣豪と呼ばれるブラック・ラングと同じ黒髪…黒髪?
「もしかして陛下ってラング家の遠戚?」
「当たらずとも遠からず…と言った所かな」
「これ以上は一応トップシークレットだから勘弁してくれ…」とカズイは言葉を濁したが、
「別に親父隠してないだろう?これでいて隠してるつもりなのか?」
「隠してるんなら、さっきみたいな登場の仕方はしないよねぇ…というか、そもそも兵士に紛れ込むとかねぇ?」
エドワードとジャンは口を揃えてそんな事を言う。
「ちょっと待て…ちょっと待てよ、お前等の親父って、もしかして…」
2人は視線をブラックに向け「アレ」と指差し、ジャックは「父ちゃん、王様~」と無邪気に笑った。
それを知っている者達は「あぁ、ばらしちゃった…」と額に手を当て、知らない者達は「はぁ~!?」と素っ頓狂な声を上げて国王陛下を凝視した。
「えっ、じゃあもしかして、黒の騎士団のボスって…」
もう今更隠しても仕方がないと観念したカズイは「国王陛下自身だよ…」と皆に告げた。
「一応これは国家機密だから、くれぐれも内密に頼むぞ」
「いやいやいや、言っても誰も信じねぇよ、こんな話」
カズイが慌てたように付け加えた言葉に、スタールは呆れたようにそう言った。
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