となりの彼

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「生野ー!」 同じクラスの男の子の声が聞こえた。生野くんは立ち上がって私に言う。 「じゃあまた明日。萩原さん」 私がそれに答える前に、生野くんは行ってしまった。私は顔を上げ、その背中をそっと、目で追いかける。 二年生になった頃から、突然生野くんは彼女を作らなくなった。 何人もの女の子に告白されたらしいのに、生野くんは「好きな人がいるから、その人以外は付き合わない」と答えたそうだ。 それからしばらくの間、生野くんの好きな子は誰かという話題で持ちきりだったけど、結局それはわからないまま、だんだん生野くんの話題は出なくなった。 そして三年生になった今でも、生野くんに彼女らしき人はいない。
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