プロローグ

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「あぁー、嫁が欲しい…」 乾杯の生ビールを飲んだあと、ジョッキをテーブルに置く音と共にそう言う。 「なに?その女子力ゼロの発言は」 呆れたような声で、夏美が返してきた。 「それよ、それ! 独身男性が、お嫁さん欲しいってこぼせば、早く見つければって、あわよくばいい人紹介してもらえることもあるって言うのに、独身の女が同じ発言すると、ドン引きされたあげく、非難の的よ。 それって、どうなの?」 日曜日の夕方、そんなに混んでいない居酒屋で、私は立ち上がりそうな勢いで、力説していた。 「まぁまぁ、落ち着いて。 男女に関わらず、自分の身の周りの世話を焼いて欲しくて、結婚相手を探すのは、今時どうかと思うよ。 だいたい、ゴミ捨て忘れたくらいで、なんで嫁なの? いつでもゴミ出せるマンションに引っ越すか、家事代行雇うとかすればいいじゃない?」 夏美に言われ、私は肩の力を抜いた。 きっかけは、ゴミを立て続けに捨て忘れ、2週間分のゴミと同居しているという話しからだった。 「捨て忘れるっていうか、もう諦めてるんだよねー。 長く部屋に置いておいても困らないように、生ゴミになりそうなものとか、臭いのしそうなものを買わないようにしたりして…     
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