番外編ー3

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思いもよらなかった言葉に、驚きを隠せなかった。 千波さんに会いにって… 10年も前に亡くなった人のところへ 南さんは、今どんな心境でいるんだろう 心配でならなかった。 「ガンだったらしい。 闘病中も、ずっと南、千波さんの側にいて、もう一人の親友早希さんと一緒に、千波さんのことを支えてた。三人はそんな関係で、千波さんは、なんでも南と早希さんには、話してくれてたみたいだから、きっと南も話に行ったんじゃないかな…」 そういうことだったのかと、納得する。 そんな大切なひとに会いに行ったのかと。 そして、きっと千波さんに話す内容は、それほど大事なこと。 「南、たぶんリセットしたんだと思う」 ちょうど、一郎くんが淹れたてのコーヒーを、トレイに乗せて持って来てくれた時だった。 一旦、黙り込んでいた涼さんが、再び口を開いた。 綺麗すぎるほど、片付けられたこの部屋から、南さんが、何か心の整理をしようとしてる事は伺えた。 それが、なんなのかも、なんとなく予想が出来た。 でも、直接涼さんの口からそうではないかと伝えられると、私でもこんなにショックを受けているというのに… 目の前で、肩を落とす涼さんに、なんと声を掛ければいいのか分からないし、こんな涼さんの姿を見ている一郎くんも、どんなに辛いんだろうと思う。
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