番外編ー4

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夕暮れの河川敷、吹いてくる秋風は、少し冷たくて。さっきまで、太陽とキャッチボールをしていた俺は、体を動かしていた分温まっているが、薄着で俺たちのことをずっと待っててくれた南には、寒かったのかもしれない。 どこか、場所を移したほうがいいかとも思ったが、食事も食べれないような状況で、居酒屋なんかに連れて行っても、返ってきついのかと思った。 ゆっくり話せるような場所でと考えると、喫茶店ぐらいなんだろうけど、話の内容からすると、それもどうなのかと思う。 うちに呼ぶわけにもいかないし、どうしたらいい、ちな?と、心の中の千波に問いかけてみる。 千波は微笑むだけで、何も答えてはくれないけれど、どうにかなるよと言う意味なのかと思い、目の前にいる南の様子を伺う。 「何かあった?」 困ったように微笑んだ南は、「ちょっとね」と一言だけ返事をする。 黙って、見守るように南の反応を待っている俺に、「座ろう」と、さっきまで自分が座っていたコンクリート製の階段へと俺を促す。 先に座った南の隣に俺が腰掛けると、「さっきの男の子と、いつも遊んでるの?」と、南が声を掛けてきた。 向き合うことなく、目の前を流れる川の水面をお互いに見ている状態。それが、とても楽に感じた。
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