番外編ー4

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「うちね、こんな事やってるんですよ」と、一枚のチラシを渡してきた。 「こども食堂ってご存知?」と、ニコニコした顔で聞かれたので、「えぇ、何となくですけど」と答える。 「うちは、地域食堂って言って、こどもだけじゃなくて、地域のお年寄りとか、子育てしてるママさんとか、日頃なかなか家から出る機会の少ない人たちに、集いの場を提供してるの。地域の交流の場っていうのかしらね。地域での孤立を予防するって言ったら大袈裟なんだけど、まあ気軽に立ち寄って、立ち話感覚で、挨拶ついでにおしゃべり出来るような場所があってもいいんじゃないかと思ってね」と、チラシについて説明された。 こども、お年寄り寄り、小さなこどもを持つパパママ、一食200円。その他、一食500円の定食屋で、日替わりメニューの一品のみ。 郊外の農家や家庭菜園で、余っている野菜を分けてもらったり、近所の商店街で、余ってる食材を格安で譲ってもらったりして利用していることもあって、この値段でやれているらしい。食品ロスにも繋がるし、障害者の作業施設としての認可ももらってるから、その分で助成金も入ってくる。 また、子育て支援としての、地域からの補助ももらっているらしい。NPO法人として立ち上げて、食品提供や食材を集めたり、食堂での調理、配膳、皿洗いなど、いろいろなボランティアに支えられて成り立っている。あなたも、食べるボランティアをしてくれませんか?というのが、その人の誘い文句だった。 食べて、料金を支払うことでの、経済的な支援にもなるが、食べてくれる人がいることで、ここで働いている人たちのやりがいに繋がるし、そこに居てくれて、人がいる雰囲気を作ってくれることで、利用者さんたちのためにもなる。交流するなんて大袈裟なこと考えなくていいから、とにかくそこで黙って食べてくれるだけでいいから、夕食がまだなら食べていきませんか?と言われて、断る理由も思い付かずに、その人に促されるまま、店の中に入った。
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