番外編ー4

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知り合いが高齢で閉める事になった古い食堂を譲ってもらったんだと説明された。本当に古い店舗。中にはいると、予想通りの年季の入った店内には、それにふさわしいテーブルと椅子が並んでいた。 古い割には、こざっぱりと綺麗に片付けられていて、時間が早かったせいか、店の中は小さな子連れやお年寄りのご夫婦が夕食を楽しんでいた。 そんな中、ポツンと一人、小上がりの畳の上で、絵本を読んでたのが太陽だった。 「あの子は…?」 普段なら、そんなお節介なこと聞いたりしないのに、なぜかその時は、頭で考えるより先に口からそう出ていて、「あぁ、太陽ちゃんね」と多香子さんが返してくる。 「近所の子なんだけど、お母さんがお仕事始めてね、職場が少し遠いもんだから、学童のお迎えに間に合わないのよ。だから、学童が終わって、お母さんが帰ってくるまでの間、ここで待ってるの。一人で家で待つよりは、いいんじゃないかと思って、軽い気持ちで安請け合いしちゃったんだけど、返って淋しい思いさせてるんじゃないかって思ってね…」
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