First episode

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「おいしい! これって沖縄産のコーヒーですよね?」 「うん、そう、沖縄産! えっ、それどうしてわかったの?」 「えっと……、それは……、そう感じたから……」  そうか……、普通なら、飲んだことがあるからとか、コーヒー店でバイトしたことがあるからとかなんだろうけど、彼女の場合は、そういうデータがメモリーに入っていたということか……。  初めて下を向くENAを見た。  なんだか悲しそうに見える。  だがENAはすぐに佳祐の方に振り向いて、 「だから、私、お料理は好きだし得意なのですよ」と、少し顎を突き出して、自慢げな表情を作りあげた。  ENAは自分が人間ではないということをどう思っているのだろう。  佳祐は一瞬そう思ったのだが、それよりも、これは今度ご飯を作りましょうか? の前振りなのか? 僕から「じゃあ、今度ご飯を作ってよ」というべきなのか? いや、まだ付き合ってもいないのに、それは早いよな? いやでも、もう僕の部屋にやって来ているわけだし。あぁ、どうしたらいいんだ? で、頭がいっぱいになった。  そんな佳祐をENAは、にこにこしながら見つめ、次の言葉を待っている。 「えっと……、じゃあ今度、一度、ご飯を作ってくれるかな……」  勇気を振り絞りそう言ってみたのだが「それはまた追い追いということで。えっと、じゃあ佳祐さんの好みを知りたいので、佳祐さんのイチ押しのものを食べに連れて行って下さい」  満面の笑みでそう言われてしまい。  この笑顔は間違いなく凶器だ。  これを見せられたら、誰も逆らうことなどできはしない。  そう思った。
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