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ENAに言われた「僕のイチ押し」を食べに行こうと、日曜の朝10時、二人でバイクにまたがって郊外にあるお店を目指した。
と言っても、初めてのデート? は最初からつまずいた。
「バイクに乗るとは聞いていなかったから……」
そう言ってENAが下を向いてしまったのだ。
ENAはその日、政府から支給された制服を着て、やって来た。
それはもう、やはりとてもかわいくて、ENAのスタイルの良さと肌の美しさがいかんなく発揮されている。
だからこそ目のやり場に困ってしまうわけで、制服を着たENAが目の前にいると、とても嬉しいのだが強い忍耐を必要とする。
だが今日は、そういう問題ではなくて、ミニスカートではバイクに乗れない、ということになったからだ。
座っただけでも、その……、パンツが……見えてしまいそうなのに、そこに風が当たったら、それはもう……。
「ごめん。じゃあ今日はリニアトレインで行けるお店にしようか」
佳祐はそう言ったのだが「でも……、私、佳祐さんのイチ押しのお店に行ってみたい……」と。
もう、なんてかわいいことを言うんだ! それもそんなにかわいい顔をして……。
やっぱりENAをあそこに連れて行きたい。何かいい方法は……。
佳祐は悩みに悩んだ挙句、クローゼットから一番細身のジャージを探し出し「じゃあこれを履いてみてくれる?」とENAに手渡した。
ENAはそれを受け取ると、すぐさまバスルームに駆け込んだ。
しばらく経って出てきたENAはスカートの下にジャージを履いていて「どうですか? 大丈夫ですか?」と、体を右や左に捻りながらその様子を確かめている。
ENAが履くとやはりブカブカで。
でも、なんだか試合前のチアリーダーみたいで、それはそれで、とてもかわいい。
佳祐は「うん、大丈夫。かわいいよ」と言いたかったのだが、どうもそれは恥ずかしくて「それなら大丈夫だよ」と言ってしまい、ENAは渋々の顔をした。
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