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ENAはキッチンに向かい、食洗器に入っていた食器をもう一度拭いてから食器棚に並べていった。
真っ直ぐに立ったENAを後ろから見ると、ENAの白い脚の間4か所から、グレーのキッチン台が見える。
足首のくるぶしの上、膝の下、膝の上、そして太ももの付け根。
脚がO脚だったり、細すぎたりすると、脚の間は大きく空いてしまう。
X脚だと穴は膝から下の1か所に。
太すぎると、全部が引っ付いてしまい、穴はできない。
「美しい……」佳祐は心の中でそうつぶやいた。
優作が言っていたカスタマイズは、ENAも「できますよ」ということだった。
人間の女性も化粧や髪、服装などを変えることによって、イメージを変化させることができるわけだが、AMdはそれだけではなく体のパーツや顔までも、課金をすれば変更することができるらしい、それはもちろん制服も。
極端な話、同じ時間を過ごした記憶のメモリー以外、全てが交換可能。
だが、少しの変更でも結構な金額が必要で、それは全て政府で管理され子育て資金として利用される。
でも今のENAにカスタマイズするところなどどこにもない、そう思った。
制服はちょっと違うのも着せてみたいけど……。
洗い物が終わったENAは、クロスでワークトップやテーブルなどを拭き出した。
おいおい、そんなに一生懸命擦ったら腰が激しく左右に……、その短いスカートが……、ほらそんなに揺れてしまって……。
ダメだダメだ、そんなに前かがみになっちゃ、もう見えそうで、見えてはいないけど、でも……。
ソファに座っていた佳祐の体は徐々に低い位置にずれてゆき、振り返ったENAに驚いて、飛び起き正座をしてしまった。
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