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快晴のフィッシングランドに到着すると、既に各バンガローの前には数人ずつの集団が形成されていて、皆、釣りを始めていた。
魚を全部釣り上げられてしまうわけはないのだが、角栄と二人で急ぎ、投げ釣り用のルアーロッドを2本と、サビキ釣り用ドローン2機、そして超音波魚群探知機の遠隔モニターを1台借りてきた。
「どれどれ」
電源を入れ、モニターを4人で取り囲む。
「やっぱり、大物は沖の方にいるみたいやなぁ」
「小魚の魚群はやや左サイドみたいですね」
だが佳祐は、ENAが着ていたパーカーを脱いだせいで、その目はモニターに向かわない。
おいおいENAちゃん、そのシャツの下に見えているのは水着なんだよね?
白のビキニって、男には下着と見分けがつかないんだよ。
だからどうしても……。
そのデニムのミニの下にも、白のビキニが隠されているわけで。
見てみたい……。
でも、海に入ろうよ! というにはまだ寒すぎる。
ちょっとスカートを脱いでみて! なんてこと、言えるわけもない。
仕方がない。
今日のところは我慢して、夏にもう一度ここに来よう。
なんてことを佳祐が一人考えているうちに「よーし、ほんならバンバン釣って、豪華なディナーにするでー」と角栄はやる気満々で「おらー」と言いながら第一投を投げ込んだ。
「すごーい。すっごく飛びましたよね今の」
八重のその声に「今のはまあまあやな」と、角栄はまんざらでもない顔をし、佳祐も負けじと投げ込んだ。
「さすが、佳祐さん。軽く投げたのに飛んでますね。やっぱり剣道をやっていたからですか?」
「どうだろう。でも角栄のパワーには勝てないけどね」と謙遜はしたものの、やはりまんざらでもなかった。
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