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「じゃあ八重さん、私たちも始めましょうか」とENAが誘い、それに八重が「うん」と答えた。
笑顔でコントローラーを手に取る二人。
いつの間に仲良くなったのだろう……。
撒き餌はドローン本体に積まれていて、ボタン一つで撒いてくれる。
餌を触らなくていいので、女性にも好評だ。
ENAはなんなくドローンを離陸させ、目標の場所まで移動させて行く。
「ENAちゃん、さすがですね」
「いえいえ、今日は風もないし、このドローンには高性能の姿勢制御装置がついていますしね」
それを見た八重もドローンを離陸させ、二人は波打ち際に近付いて行ったのだが。
「あっ、きゃーー!」
八重が砂浜に足を取られて転んでしまい、コントローラーが手元を離れ、ドローンが急降下。
だが、墜落防止装置が働いて、ドローンは海面から一定の高さを保ち飛び続けている。
「あぁ、よかった……」
だが、四つん這いになってドローンの行方を見ていた八重のスカートがめくれ上がり、小ぶりのお尻が丸見えになっている。
八重の悲鳴に驚き振り返っていた佳祐と角栄は、瞬きもできず唾を飲み込み固まっていた。
「八重さん、お尻が……」
ENAの言葉に八重は「はっ」と佳祐たちの方に振り返り、凝視していた二人を睨みつけた。
「あっ、八重さん、今ドローンの飛んでいる所が、さっき魚影が映っていた所ですよ」
ENAがそう助け舟を出し、ようやく立ち上がった八重は「そうなの? じゃあ早速、餌を撒いてみよ。えいっ!」と平静を取り戻した。
「私は一度、糸を上げてみますね。きゃーー、八重さん見て下さい! こんなにいっぱいお魚がぁ」
「うわぁ、すっごい! ENAちゃん上手ーー!」
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