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その後、女子は再び小アジを何匹か釣り上げて、佳祐はコウイカを2杯釣り上げた。
何度投げ入れても釣れない角栄は「このままではあかんわ」と言ってルアーを替えて、キスを3匹釣り上げた。
だがそれでも納得のいかない角栄は、今度は砂浜を掘り出した。
角栄のこのバイタリティの高さは目を見張るものがある。
「そろそろ料理を始めようと思うのですが」ENAがそう呼びかけて、ようやくバンガローに戻ってきた角栄が「どうや、なかなかすごいやろ?」と袋の中身をボールにあけた。
そこには沢山のアサリが入っていて「ホントだすごーい。おいしそう!」と八重が言うと「ハマグリも二つ見つけたんやで」と、角栄がようやく満足そうな表情を見せた。
「魚の下処理は任せて下さいね」
得意げにそう言ったENAが、次々と魚をさばいてゆく。
入念にウロコを取ってゼイゴやヒレを削ぎ、頭を切り落とし内臓を綺麗に洗い、素早く三枚におろしてゆく。
それはもう、職人のようなきびきびとした手さばきで、皆はあっけにとられ「続きをやってもいいですか?」とENAが聞くと「どうぞどうぞ」と皆首を垂れ、右手を差し出した。
八重はお米を研いでご飯を炊き、食器を揃えた。
角栄は自分で取った貝とワカメで、何度も味見をしながらお味噌汁を作っている。
佳祐は釣りの後片付けをし、イスやテーブルを拭くことにした。
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