The fourth episode

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「もう! どうしようもない奴ですね、こいつは」  葵がモニターの中の佳祐を指さし、顔をしかめる。 「まあこれが今の一流会社に勤めるサラリーマンの平均的な姿だということだ」と裕仁が葵の頭を軽く二度叩いた。 「そう、これですよ、これ! ENAが料理を失敗して落ち込んでいる時に、この頭ポンポンんをしてあげれば、キュンってなるのに。それなのに、慰めの言葉すらかけていない。まったくもう、この角栄の方がよっぽどマシですよ。『刺身はすごいうまかったし。よう頑張ってくれた。ありがとうな』って、いいところはちゃんと褒めて、頑張ったことを労って、ありがとうとお礼の言葉を言って。そういえば、どうしてこの角栄は未婚で27歳になったのにAMdが送られてこなかったのですか?」 「スーパーコンピューター『御』が彼にはAMdを送らないと判断したのだ」 「えっ? 未婚の27歳全員に送られてくるわけではないのですか?」 「そうだ。これから日本の27歳は3つに分けられる。27歳までに結婚をしている者、27歳の誕生日にAMdが送られてくる者、そして未婚のまま27歳になってもAMdが送られてこない者に。ああ、葵はAMdのプログラミングに特化していたせいで、我々の計画をあまりよく知らないのだな」 「はい。このプログラミングをしてくれ! とよく分からないまま招集され、頭から煙が出る程こき使われて、気が付けば室長の隣に立っていました。これからのこともありますし、できれば一から教えて頂ければと」 「うむ」  前にあるモニターを眺めたまま裕仁が話し始めた。
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