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「ほら行こうよ、とハンバーガーを買いに行こうとした時、手を繋ぐ最大のチャンスでしたよね?」
「それは思ったんだけど、拒否されてしまったらと……」
「拒否なんて絶対にされませんよ、長時間二人引っ付いてバイクに乗って来た相手なのですから。嫌だったらタンデムなんてしません」
「でも、出会った最初の日に、手を払いのけられたから……」
「それは最初の日だったから。女性は好きでもない人に触られるのは嫌がるし、好きになるのには時間がかかるのです。少しずつ進んで行くことが大切なのです」
「そう、だよね……。って、でも優作もまだ手を繋いでないんだろ?」
佳祐がそう言うと、優作は胸を張り得意満面の表情を見せた。
「まあ、本に書いてある通りにしたら、ばっちりでしたよ。歩いていて信号が変わりそうになった時に、ちょっと急ごう、と言って手を取り走ったのです。とても自然でしょ? そのおかげで、ほら、今はこんな感じです」
そう言った優作がIDカフを通して佳祐に画像を送って来た。
アイモニターに映し出された画像には、公園のベンチだろうか、満面の笑みを湛えた優作と、ピンクと白を基調にした制服の、かわいい笑顔の女の子が、二人手を繋いで座っている。
SERAであろうその女の子はENAとはまた違った丸みのあるかわいらしさを持っていた。
だが、それよりも佳祐の目に強烈なインパクトを与えたのは……。
「すごいね」
「いや、それほどでも。佳祐も手を繋ぐくらいすぐにできますよ」
「いや、そこじゃなくて」
「えっ、そこじゃなくて?」
「その……、SERAちゃんの胸って、すごい……よね?」
「あっ、そこですか。実は、課金をしてカスタマイズしたのです」
「えっ? 課金? カスタマイズ?」
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