第3話 カントリー

3/6
前へ
/38ページ
次へ
「先生は完璧な世界が完成すると思うの?」  この何気ない生徒の質問。正直に答えよう。 「そもそも完璧な世界というものは存在しないと思っています。このシステムもそうです。バグというわけでは無いのですが…」私は先ほど書いた文字を指さした。生徒たちが黒板の字に注目する。 「虹が見たければ雨を我慢しなければいけない。このシステムでは、これが完璧な世界を作る上での条件となるそうです」  生徒たちは首をかしげている。 「もう一度言います。このシステムを完成させる大前提として……」  気が付く生徒もいるかもしれない。子供は大人が思っている以上に賢い。気が付いて良い。気が付いて止めて欲しい。 「雨を我慢する事が必要なのです」  外が光った。  生徒たちは外の光に釘付けになる。大半の生徒がきれいだと言っている。  私はため息をついてしまった。またあいつが使われた。  あれはサタンだ。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加