第1話 496

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 七五〇〇年前、三人の兄弟がいた。三人は仲良く暮らしていた。  五〇〇〇年前、三人の兄弟が喧嘩した。  仲が悪くなった三人。  彼らは同じ事を言った。  虹が見たければ雨を我慢しなければいけない。  仮に、お前は明日死ぬと言われたとする。  言った人間が、過去をすべて言い当てたとする。  そしたらあなたはその人を信じるだろう。  しかし、未来や過去が分かる人間はいない。  絶対という事は存在しない。  しかし…。  人間が未来、過去の事を知る。  それは絶対にない。  俺は囚人全員を見渡した。  「歩け!列を乱すな!」と叫ぶ。灰色の建物の間、囚人が列を作って歩いていく。  「回れ右!」と叫ぶ。囚人全員が刑務官の方を向く。  「挨拶!」と叫ぶ。囚人全員が刑務官に挨拶をする。  「お世話になりました!」と全員が叫ぶ。この声が刑務所中に鳴り響く。  「門を開けろ!」と叫ぶ。すると門が音を立てて開く。  刑務官達は、囚人に銃を向けている。  俺はその刑務官達を見た。「もうここから出ますね」問いかけるように言った。  囚人全員が刑務所を後にした。  刑務所の隣は山である。  俺はそこで立ち止まった。 「あとは自由にやってくれ。俺はこの六人と一緒に行動するからよ」  数人が礼を言い去っていく。しかしほとんどの人間がその場に残った。面倒くさい。 「お前らは俺達について来るのか」  リアクションを待つが、何も返ってこない。こいつらは自分の意見も言えないのか。本当に使えない人間だ。 「シープ、そんな奴らほっといて先を急ぐぞ。すぐに警察が動くと思うからな。お前らもついてきたければ勝手に来い」  まぁ、こいつの言う通りだ。先を急ぐことにしよう。 「サマリヤ国までどれぐらいかかるんだ?」  俺はこの刑務所がどこにあるのか知らない。脱獄後の事は、この六人に任せてある。 「徒歩で一週間ってところかな。移動手段は何も用意してないんだろう?」 「まぁな。だって俺は二〇年も刑務所の中にいたんだぜ。手配のしようがないだろう」 「それもそうだな」こいつは笑った。「さすがシープ。有名人はやっぱり違うね」
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