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 けれども澪ちゃんに会いたいのも事実。彼女の手作り料理を食べたいのも事実。足は桐ヶ丘に向かった。  巨大団地街の中を駆け巡る。  彼女だって事情は分かっている。0時が門限だって事は。それを承知で食事を作ってくれたのだろう。  0時の門限に間に合えばいい。  彼女の住まいの玄関から濃厚な匂いがした。 (あ、カルボナーラだ)  彼女の作る、カルボナーラは旨い。 「あ、来れたのね」  パスタを皿に盛りつけながら、彼女は笑顔を発した。  こんな事件が起こっているからこそ、彼女の笑顔はホッとした。心を癒してくれた。  心底、一緒になりたいと思った。 「あ、うん」 「カルボナーラ好きだったよね?」 「勿論!」
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