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「良かった。いっぱい麺茹でておいたの」  彼女は俺が、パスタが百グラムでは足りない事を知っている。  白バイに乗るようになってから、俺はとにかく食べるようになった。交番勤務だった頃よりも。腹が減って仕方がないのだ。  白い洒落た陶器に、白いソースが絡まったパスタとサラダ。それにバケットが置かれた。  お洒落だ。  普段、こんな生活をしているとこんな、洒落た料理を食べる事はない。 「頂きます」  俺はフォークを少しパスタに巻き付け、食べた。  濃厚なソースが麺に絡まり、ベーコンの旨味もしっかり浸透していて、おいしかった。  ガツガツ食べる俺を見て、澪ちゃんは「おいしい?」とまた、笑顔を向けた。 「うん」  子供のように頷いてしまった。
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