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「圭子さんの事をそのうち『お母さん』って呼ぶ日も近いのかな」
少し彼女は顔を赤めた。
「そうだなぁ。おふくろは『娘』が出来るのが嬉しいんだろうな」
俺の弟は既に亡くなっているが、男しか産まなかった。女の子も欲しかったなぁと、ぼやいていた姿を見た事がある。
「それなら、尚更、私を頼ってくれていいと思って。あ、それより門限大丈夫?」
彼女らしく、気を使ってくれた。空になったグラスに、アイスティを彼女は注いでくれる。
「あ、うん。あと三十分だけ」
一分でも多く、彼女といたかった。
彼女がノートパソコンをカチャカチャと打つ姿を見せてもらった、華奢な白い指が、滑らかにキーボードを打つ。
「へぇ。ブラインドタッチ早いんだな」
「まぁね」
うふふと、彼女は可愛らしく笑った。
警察官も、ブラインドタッチは自然に得意になってしまう。
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