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 国立大出身の彼女はやはり色々と、のみ込みが早い。大体、一度聞いた事はすぐに覚えてしまう。頭脳明晰な彼女だ。  彼女の勤務する会社が倒産しなかったら、澪ちゃんと俺はもしかしたら出会っていなかったかもしれない。  あの時、警ら中に桐ヶ丘中央公園で出会ったのが、きっかけだったなと、脳裏をよぎる。まだそんなに日は経っていないのに、懐かしい。  澪ちゃんを背後から抱きしめながら、ブラインドタッチをするのを眺める。  滑らかにピアノを弾くようにキーボードを打つ彼女。多分、警察官よりキーボードを打つのは早いかもしれない。 「あ!」  俺はパソコンのキーボードをジッと眺めながら、ついつい大きな声が出てしまった。 「どうしたの?」  澪ちゃんがきょとんとして、目を瞬かせた。俺は一瞬無言になった。澪ちゃんは、目を瞬かせながら小首を傾げている。
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