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上條美佳は結婚する気がない男に、もしかしたら結婚を迫られたかもしれない。飽く迄、推測だ。
遊びの付き合いだったのだろう。
上條美佳が結婚したかった相手は多分、日高。しかしその思いはおそらく叶わなかった。日高は自由を愛する人。結婚しないで籍を入れず、女性と同棲し、他の女性も欲しいタイプだったのだろう。
そんな相手との玉の輿を夢見た女は、沢山いた筈だ。
「女って、したたかな生き物ですね」
俺のつぶやきに、池村巡査長は「まぁな」と、口角を上げて、少し長めに瞳を閉じた。
池村巡査長が学生時代につき合ってた女性も、そんなタイプだったらしい。埼玉県警の女性警察官になったが、多分今頃は結婚退職しているだろうとの事。
「ったく、しょうがねぇなぁ。さて、警らでも行くか」
「はい……」
俺は池村巡査長と共に、マークエックスに乗車した。
夜の街を警らする。一日が終わったばかりの夜の街は、どこか浮かれていたり、明日の事を思うと重いため息を落としながら歩いている人、様々だ。
皆、どんな思いをして歩いているのだろう。
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