第1章

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今日は何日だっけ? スマホで日にちを確認。 ウッ…………14日か。 2月14日…………バレンタイン、あの忌まわしい記憶が蘇る。 バレンタインが大嫌いになったあの日の記憶が。 寒波が上空に居座り雪が舞う夕刻、学校からの帰宅途中にフト前方を見たら、道筋の脇の家からクラスメートの佐藤が腹を押さえ出てきた。 それ程明るくない街路灯の灯りでも分かるほど、真っ青な顔をしている。 佐藤に声を掛けようとした時、逆に声を掛けられた。 「お兄ちゃん!」 え? 声を掛けられたのって、俺? 周りを見渡す。 すると、先程佐藤が出てきた家の庭先から、小学5~6年生くらいの可愛い女の子が俺を見つめているのに気が付く。 可愛い女の子に縁の無い俺は、思わず自分の顔を指差した。 「そうだよ。 お兄ちゃん、あんこうの人でしょ?」 「え、ああ、そうだけど」 「お姉ちゃんにチョコレート貰えた?」 「お姉ちゃんって?」 「河合百合って知らない?」 「河合さん? 生徒会長の? 彼女とはクラスが違うし話しをしたことも無い、俺には高嶺の花だからチョコレートを貰えるはずが無いよ」 河合百合って言ったら同学年でまだ1年だけど、生徒会長に立候補して当選した、文武両道の上誰もが振り返って見るほどプロポーションが良く美人な女性。 こんな凄い女性に縁がある訳が無い。
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