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たくさん悩んで、たくさん迷って。
立ち止まって、振り返って、また進んで。
離れては近づいて、また離れて。
たくさん遠回りをした。
だけど簡単なことだった。
伝えるってドキドキして怖いけど、伝わるってこんなにも嬉しいんだ。
「こんなにも幸せなら、我慢せずにもっと早く伝えてればよかったかな」
ヒロの腕の中でそう伝えれば、不満げな表情でじっと顔を見つめられる。
「俺だってずっと我慢してた。俺、サクのこと好き。超好き。あー、やばい......。もう止められる自信ないから」
というか、ヒロのその言葉の方が色々とヤバいんですけど。
言いながら、抱きしめる腕の力がぎゅうっと強くなって、ヒロのスキンシップが激しくなってくる。
「ま、待って......」
(止めるって、何を......?)
「無理。もう何年待ったと思ってんの」
そんな言葉に躊躇いつつも、こくりと頷けば。
「......っ」
軽く触れるだけの短いキスが降ってきた。
それだけでわたしの心臓は暴れだして、身体中の熱が上がる。
それなのに、どこか物足りなさを感じてしまっている自分もいて。
そんなわたしに気付いたヒロがいじわるな顔をしてと笑う。
慌てて目を泳がせるけれど。
「お前さ、さっきから可愛すぎるんだけど」
「えっ?」
「可愛すぎてなんかムカつく」
と一言。
次の瞬間、もっと深くてもっと甘いキスが落ちてきた。
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