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ヒロが笑った。
良かった。
わたし、ヒロと普通に話せてる。
屋上でのことがあったから、振り返るのちょっと怖かったんだけど。
ヒロは気にしてないみたいだし。
そっか。
わたしさえ普通にしてれば、ヒロと上手く接することが出来るんだ。
ただの幼馴染として接していれば......。
「その弁当どうするの?」
「あー、どうしようかな」
わたし一人じゃ食べ切れないし。
だからといって教室で広げる勇気もない。
するとここで、ヒロから思ってもみない言葉が。
「それ俺食って良い?」
「え、食べてくれるの?!」
「今から学食戻っても時間的にもう手遅れっぽいし。別にサクが自分で食べるって言うなら無理にはいらないけど」
「だ、だからこんなにたくさん食べないよ!」
「はははっ」
そして、場所を変えて2人で空き教室に向かった。
わたしの分は、購買でヒロがサンドウィッチを買ってくれた。
空き教室は貸切で、クラスのある教室からは離れているからとても静かだった。
窓側の席を一つ借りて、向かい合わせに座る。
わたしが正面を向くと、ヒロは窓側の壁を背もたれにして座った。
距離が近くて緊張するかも、と思ったけど、ヒロが横を向いてくれているから少し助かった。
お弁当の蓋を開けて、ヒロに差し出す。
「いただきます」
「ど、どうぞ」
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